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介護施設のシフト作成が属人化する5つの理由と、脱却するための実践ステップ

「シフトは事務長しか組めない」「主任が異動したら回らなくなった」——介護施設や医療機関の人事労務担当者様から、もっとも多くいただくご相談のひとつです。 本記事では、シフト作成が属人化してしまう構造的な理由を整理したうえで、担当者を増やし、引き継げる状態にするための実践ステップを解説します。 あわせて、4週8休や夜勤明けなど見落としやすいチェック項目、Excel運用の限界とシステム化を検討すべきタイミングもまとめました。

シフト表と勤怠情報を管理する介護現場のイメージ

なぜ「あの人しか作れない」状態になるのか

シフト作成の属人化は、担当者の能力の問題ではありません。むしろベテランほど属人化しやすいという構造があります。 長く現場を見てきた人ほど、職員一人ひとりの事情や相性、応援可能なユニットまでを把握していて、その情報が本人の中で完結してしまうからです。

条件が本人の頭の中にしかない

介護施設のシフトは、単に人数を埋めれば成立するものではありません。資格の有無、夜勤可否、ユニット間の応援可否、育児や介護による時間制約、職員同士の組み合わせ—— これらが同時に効いてきます。ところが、実際に文書化されているのは「常勤は月○日勤務」「夜勤は月○回まで」といった大枠のルールだけ、というケースがほとんどです。

残りの条件は担当者の経験則として蓄積されます。結果として、同じ情報を渡しても他の人には同じシフトが組めない状態になります。これが属人化の本体です。

前月のシフト表がマスタになっている

もうひとつの典型が、前月のシフト表をコピーして修正する運用です。手早く作れる反面、「なぜその配置なのか」という根拠は引き継がれません。 担当者が変わった瞬間に、直せるのは表面の日付だけになり、配置の意図が失われます。

よくある兆候

シフト作成の担当者が休むと翌月のシフトが出ない/作成に3日以上かかる/公開後の修正が毎月10件以上発生する。 ひとつでも当てはまる場合、属人化が進行していると考えて差し支えありません。

属人化が生む3つのリスク

属人化は「担当者が大変」という話にとどまらず、施設運営そのものにリスクをもたらします。

  1. 労務リスク:勤務間インターバルや連続勤務、公休日数のチェックが目視頼りになり、見落としが是正勧告や未払い賃金につながる可能性があります。
  2. 人員配置基準・加算要件のリスク:配置基準を満たしていることを示す根拠資料を、実績から遡って作成する手間が発生します。実地指導の準備負荷も高くなります。
  3. 定着率のリスク:「なぜこの人ばかり夜勤なのか」という不公平感は、根拠が説明できないときに一気に不満へ変わります。シフトの納得感は離職理由に直結します。

とくに3つ目は見落とされがちです。人手不足が慢性化している現場ほど、採用コストよりいま在籍している職員の納得感のほうが経営インパクトが大きくなります。

まず整理したい「シフト作成に必要な4条件」

属人化を解消する第一歩は、頭の中にある条件を外に出すことです。条件は次の4種類に分けて整理すると、抜け漏れなく棚卸しできます。

条件の種類整理する内容根拠・出どころ
法令・制度 勤務間インターバル、連続勤務日数の上限、休憩、公休日数、夜勤回数の上限 労働基準法・就業規則・36協定
配置基準 時間帯別の必要人数、有資格者の配置、夜勤帯の最低人数、加算要件に関わる配置 指定基準・加算の算定要件
職員個別 資格、夜勤可否、時短・時間制約、応援可能なユニット、雇用区分 人事情報・雇用契約
運用ルール 希望休の締切と上限、公平性の基準(夜勤・土日祝の回数)、連休の考え方 施設内の申し合わせ

※ 制度に関する項目は改定が入ります。実際の運用にあたっては必ず最新の一次情報および顧問社労士の確認をお取りください。

この4つのうち、とくに言語化が遅れがちなのが4つ目の「運用ルール」です。ここが暗黙のままだと、担当者を増やしても判断が揃わず、結局元の人に戻ってしまいます。

属人化から抜け出す5つのステップ

条件の棚卸しができたら、次の順番で運用を組み替えていきます。いきなり全部を変えず、上から順に進めるのが定着のコツです。

  1. ルールを1枚に言語化する

    4条件の棚卸し結果を、A4で1枚のシート(シフト作成基準書)にまとめます。「夜勤明けの翌日は原則公休」「希望休は月4日まで、締切は前月10日」といった粒度で構いません。

    ここで重要なのは、例外の扱いまで書くことです。例外が書かれていないルールは、結局判断できる人にしか運用できません。

  2. 勤務区分を棚卸しして減らす

    長く運用している施設ほど、勤務区分が20〜30種類に膨らんでいることがあります。実際には年に数回しか使われない区分も多く、これが作成難度を押し上げています。

    直近12か月の使用実績を出し、使用頻度の低い区分は統合するか、備考欄での運用に切り替えます。区分が減るだけで、作成時間は目に見えて短くなります。

  3. 希望収集を仕組みにする

    紙やチャットでバラバラに集まる希望は、集計そのものが作業になります。締切・上限・提出先を固定し、同じフォーマットで集める運用に統一します。

    職員自身が端末から希望を申請できる仕組みにすると、転記が不要になり、締切後の「言った・言わない」も減らせます。

  4. 予定と実績をつなげる

    シフト(予定)と勤怠(実績)が別々に管理されていると、予実の差分が見えません。結果として、次月の計画に改善が反映されないまま同じ負荷が繰り返されます。

    同じ基盤で予定と実績を持てれば、「計画どおりに回ったのか」「どのユニットで超過が起きたのか」が翌月の判断材料になります。

  5. チェックを人からシステムへ移す

    最後に、目視で行っていたチェック(公休日数、夜勤回数、連続勤務、時間帯別の配置漏れ)を自動判定に置き換えます。

    ここまで来ると、シフト作成は「ゼロから組む仕事」から「システムが出した案を確認・調整する仕事」に変わります。属人化の解消とは、判断の総量を減らすことだと言い換えられます。

進め方のポイント

STEP1〜3は今日から着手できる運用改善、STEP4〜5は仕組み側の話です。まずはSTEP1〜2だけでも、作成担当を2名体制にできるケースは少なくありません。 「システムを入れてから整理する」ではなく、「整理した状態で入れる」ほうが定着します。

見落としやすいチェックポイント

実地指導や労基署対応で指摘を受けやすいのは、次のような項目です。シフト公開前のチェックリストとしてご活用ください。

チェック項目見落としが起きやすい場面確認のタイミング
4週8休月をまたぐ4週間の区切り。月単位で見ていると不足に気づけないシフト確定前
夜勤明けの扱い明けの翌日に早出が入っている/明けを公休に算入しているシフト確定前
連続勤務日数急な代替出勤を差し込んだあと差し替え発生時
時間帯別の配置早番・遅番の重なりが薄い時間帯、休憩交代の時間帯シフト確定前
有資格者の配置応援職員で人数だけを埋めたとき差し替え発生時
希望休の公平性特定職員に土日祝の勤務が偏っていないか月次の振り返り

※ 施設種別・サービス種別により求められる基準は異なります。自施設に適用される基準をご確認のうえご利用ください。

Excel運用の限界と、システム化を検討するタイミング

Excelは柔軟で、小規模なうちは十分に機能します。問題は、規模と条件が増えたときにチェックの負荷が指数関数的に増えることです。 判断の目安として、次の3つのうち2つ以上に当てはまるなら、仕組み側の見直しを検討する時期といえます。

  • 職員数が50名を超え、勤務区分が10種類以上ある
  • シフト作成に毎月2日以上、公開後の修正に10件以上かかっている
  • 複数拠点・複数ユニットで応援が日常的に発生している

3つの選択肢を比較する

 Excel運用一般向け勤怠システム業界特化システム
初期コストほぼ不要低〜中
複雑な勤務区分設定は自由だがチェックは手作業表現しきれない場合がある前提として設計されている
シフト作成支援なし(人が組む)限定的自動作成・配置漏れチェックに対応
予実の突合手作業勤怠側のみ予定と実績を同一基盤で保持
属人化の解消担当者依存が続く一部改善作成〜チェックまで仕組み化できる

「HRM369 共に!dx」は、365日24時間体制を敷く労働集約型産業にマッチする設計で、勤怠管理をベースに勤務シフト作成支援・人事情報統合管理・人事評価・勤怠届出電子申請処理をオプションで構成できます。 単独事業所様のスタンドアロン型から、複数拠点を束ねる統合サーバー構成まで対応しています。

よくあるご質問

シフト作成をシステム化すると、現場の細かい事情は反映できなくなりませんか?

システムが作るのはあくまで「たたき台」です。人が判断すべき部分は残したうえで、機械的なチェック(公休日数・連続勤務・配置漏れ)を自動化する、という役割分担になります。細かい事情は最後の調整で反映していただく運用が一般的です。

まずシフト作成だけを改善したいのですが、勤怠管理も入れ替える必要がありますか?

「HRM369 共に!dx」は勤怠管理をベースに、勤務シフト作成支援をオプションとして構成します。ベースからのご導入となりますが、オプションは段階的に追加いただけます。現行運用との兼ね合いはヒアリングのうえご提案いたします。

単独の事業所でも導入できますか?

はい。スタンドアロン型の構成をご用意しており、単独事業所様からご導入いただけます。複数拠点をお持ちの場合は統合サーバー構成での運用も可能です。

導入後に運用が定着するか不安です。

当社事業所内にサポートセンターを設けており、導入準備から稼働初期のお問い合わせ対応、障害発生時の初動対応支援まで、ご契約事業所様専用のフリーダイヤルにて承っています(当社営業日 9:00-17:00)。

まとめ

  • シフト作成の属人化は担当者の能力ではなく、条件が言語化されていないことから生まれます。
  • 放置すると、労務リスク・配置基準の説明責任・職員の納得感という3方向にリスクが波及します。
  • 「法令/配置基準/職員個別/運用ルール」の4条件で棚卸しし、とくに運用ルールを明文化することが起点になります。
  • ルールの言語化 → 勤務区分の整理 → 希望収集の仕組み化 → 予実の接続 → チェックの自動化、の順で進めると定着しやすくなります。
  • 職員50名超・勤務区分10種類以上・複数拠点での応援が日常的、といった条件が重なったら、業界特化システムの検討時期です。

参考にした情報

  • 厚生労働省「労働基準法」関連ページ(勤務間インターバル制度、労働時間・休日)
  • 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」人員配置基準に関する資料
  • HRM369 共に! 製品情報 / 株式会社リード

※ 本記事は一般的な実務の整理を目的としたものです。制度の適用可否や個別の判断については、必ず最新の一次情報および顧問社労士等の専門家にご確認ください。

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